デッサンと英語と人生は「近眼力」で好転する
「近眼力」という言葉は、信州の母さんのオリジナル用語です。
焦点を合わせず物事をぼんやり見る。森を見て木を見ず。細かいことに拘らず、俯瞰してみる。そんな生き方をするという意味です。これを心がけたら、物事が劇的に上達した、または、人生が好転したという経験を紹介したいと思います。
🍎デッサン上達の鍵は「目の近眼力」
筆者は大学時代、服飾美術学科の美術コースで学びました。受験の際には特にデッサンは必要がなく、総合的に美術を学びたいという安易な理由で入学し窮地に陥ります。
デッサンは初めて。詳細は描けても、絵の構図が取れない、陰影がうまく描けない。
そしてあるとき気がつきます。目の焦点をずらして、ぼんやり風景を見つめる。すると明るい場所、暗い場所、輪郭などの全体像が浮き彫りになってきます。まずは、全体をぼんやり見て描く。まず風景や被写体全体の空気感をつかむ。この手法で一気に上達しました。
これは、今の編集者としての力にもつながっています。詳細に拘らず、俯瞰して考える。常に何が大事か、コンセプトを意識する力。これがクリエイターにとっての「目の近眼力」です。
🍎英語の読解や会話に役立つ「頭の近眼力」
筆者の英国留学での体験です。日本では学生時代、単語を一つ一つ調べてから文章を理解する。そうした作業をしてから全体を理解する。という順番で勉強していました。
しかし、留学したら他国のクラスメイトの読解スピードについていけません。例えば短いニュース記事を英語で5分で読み意見交換する。そんな授業はざらでした。
まず全体をさらっと読む。そしてなんとなく、ぼんやりとでもいいから、何について、何を伝えようとしている記事なのか。メインの社会課題は何か。それを先に見つけて考えます。そして後でわからない単語を調べて理解する。するとより深くニュース内容を理解でき、気がつくと語彙力と読解力が高まっていきました。
これはまさに「頭の近眼力」です。一つの単語や詳細に拘らない。全体をつかむことから始める。これを身につけたら、グッと英語が上達しました。
会話も同じでした。話しかけられたとき、一つの単語がわからないとパニックになって何を聞かれているのかわからなくなる。でも、駅であれば「道を聞かれているのかも」スーパーの食品売り場なら「食品を探しているのかも」と予想がつきます。環境や状況をまず把握してから、詳細に注意を向ける。これこそが英語上達のコツでした。
🍎やりたいことを叶える「夢の近眼力」
子どもの時、学校で夏休みの計画をたてさせられました。筆者は計画を立てても、一度も実行できたことはありません。三日坊主ならぬ一日坊主でした。こうした経験を何度も何度も繰り返し、自分は計画を立ててもできない。「習慣」が苦手。先生に怒られると恐怖と絶望のどん底で登校する・・・。どんどん自己肯定感を失っていきました。
しかし、20代後半になり、ある人物に出会います。「70代まで大まかな夢の計画を立てよう」と言われたのです。「すごく恥ずかしい、叶えられない夢でもいい。数年後変化しても構わない」というのです。下記が当時の筆者の計画です。
🍎27歳で描いた信州の母さんの人生計画🍎 20代では、留学など過激なことに挑戦する 30代では、多くの人と出会い、いろんな仕事を断らず経験する 40代では、自分の仕事に専門性を持ち励む 50代では、その道で有名になる 60代では、海外に住んでボランティアをやる 70代では、現役で、ものを書いて生きる
上記が、27歳で立てた、もはや計画ではなくただのぼんやりした幻想(笑)です。
でも、文字にしたことで、心の中に自分の人生の目標やゴールを常に描いて生きることができるようになりました。すると、日々の行動を選ぶときの判断基準になっていきます。振り返るとなんとなく無意識にゴールに向かって行動してこれました。超長期計画ですから、焦ることもありませんし、できないからって自分を責めることもなくなりました。
一方で日々の、目の前の家族や仕事のトラブルなどが起きます。俯瞰してみれば、人生全体の中の些細なことに見えてきます。「これくらいのこと、大丈夫。自分には夢がある。焦らない」。といつも思える自分が育ちます。
ぼんやりした夢を描き、心の底に抱き続ける「夢の近眼力」。これこそが人生を生きやすくすします。そしてまた、些細なことでグラグラしない自分がいつの間にかできてきました。あれから30年、50代後半になった筆者はそう実感しています。
まだまだ人生はこれからです。さてさて、70代でも現役でいられるか、乞うご期待です! (笑)